映画について | エンジョイ青春!!

映画について

マルキ・ド・サドが原作の「悪徳の栄え」って映画ご存知ですか??(最近始まりこればっかやな。。。)昭和10年、まだ日本が階級社会だった時のお話です。

日本では岸田理生が原作で、日活が映画化してます。そして何と言っても監督が実相寺昭雄!!これはでかい。

あらすじは、主人公の不知火鬼一は、侯爵であると同時に元犯罪者(前科者)ばかり集めた「不知火劇場」の団長です。

自らの演出でマルキ・ド・サドの「悪徳の栄え」を妻の珠江主演(ちなみに珠江は売春婦)、脇はすべて他の犯罪者の劇団員でしめた舞台劇として上演しようとしていました。目的は「観客に犯罪という快楽を味あわせ、毒の種をしこむんだ・・・」。(素敵ーーー!!)

で、不知火侯爵は究極というか、もう変態に近い真性のSでして、劇団員の犯(人名ね)に命じて妻を犯させるという舞台裏の演出します。それを見て楽しもうというわけです。しかもほとんど脅迫で、その時の会話が、

犯「私が、奥様を・・・!?」

侯爵「そう、犯すんだ」

犯「・・・できません!!」

侯爵「君は泥棒だったんだろう?なら私の妻を盗むことも簡単な筈だ」

犯「・・・」

侯爵「私にも色んな友達がいる。今君をここで抹殺しても、もみ消す位の権力はある」

というものでした。


amazonのレビューでは、「サドの原作を劇中劇にして、昭和初期、2・26事件直前の貴族の退廃をエロティシズム濃厚に描いた実相寺昭雄監督ならではの異色作。倒錯と欲望と退廃を徹底的にスタイリッシュな映像美で捉えながら、そこから導き出されていく狂える孤独感をも巧みに描出。気品と狂気をあわせ持つ清水紘治の名演も特筆しておきたい。」となっています。

ほんとその通りなんですけど、「??なんかよくわかんない」って言う人と、「スゲー!!」って人に分かれそうな作品です。「スゲー」って人が増えてほしいんやけどなぁ。

非常に哲学的かつ文学的で、映像も綺麗なのでそういうのが好きな人にはおすすめです。

何でこの映画を突然取り上げたかというと、単に主演の清水紘治さんが好きだからです。舞台役者さんなのでそこまで有名ではありませんが、こういう狂った貴族という役にはピッタリすぎて鼻血でそうです。「気品と狂気」ってのが最高に似合う男だ。

こんな内容ですが、別に全くエロくはありません。私が一番エロいと思ったのは、侯爵が珠江にペディキュアを塗るシーン。何か知らんけど、変なエロティックさを感じました。その時の珠江のセリフが、

「冬が近づいてきてから、空気が澄んで、夕焼けが、綺麗・・・・・・」たまらん。

清水さんと実相寺昭雄監督いえばもう一本、「宵闇せまれば」。

あらすじはgoo映画からひっぱってきました。


宵闇迫る頃の、とあるアパートの一室。この時間は大嫌いだという、四人の学生が集っている。マサアキ、ヤナ、サミーの三人の男子学生と、ジュンである。遊びにも飽きた頃、ちょっとしたミスから、ガスの栓がはずれてしまった。勢よく吹きだすガス。その時、一人が提案した。「ガスを出しっぱなしにして、誰が一番最後まで部屋に残れるか、賭けをしよう」・・・こうして四人のゲームが始まった。 「俺たちは不幸な時代の人間だ。強制収容所もなければ、特高警察もない。人間の限界をはかる極限状況がないんだ。だから、こんな遊びで極限状況をつくって、宵闇迫る、いやな時間をつぶしているのさ

一人抜け、二人抜けて行く。だがこの頃から、ゲームは遊びではなくなった・・・。


白黒映画ですので、4人の危機感が逆にひしひしと伝わってきます。見終わった後は、「・・・生きててよかった・・・」と思えるかもしれません。

これも哲学的なお話です。悪徳の栄えほど文学チックではありませんが。

何日か前のブログで生死論みたいなん書きましたが、そういうのに興味ある人は是非見て欲しいです。かなり考えさせられること請け合いだと思います。ちなみにこの映画も最後は「狂気」ですね。


私は普段映画はあまり見ませんが、こういう話の映画がどんどん出てくれたらなーって思います。いつか、誰かと実相寺作品について語り合いたい!!イケてるメンズとともに募集中です!!!