恋愛とは経済学だ!~Vol.1 ゲーム理論~
さて、おまちかね、「恋愛とは経済学だ!」のコーナーです。
このコーナーでは、私は曲がりなりにも経済学部生なので、恋愛を経済学的に、かつ合理的、数学的に解釈していきます。
読んでたらいいことがあるかもしれないし、ないかもしれません。役に立つやら立たないやら。
Vol.1 ゲーム理論~チキンゲーム~
ゲーム理論は、大学生、特に経済学部生なら常識の範囲で知っている分野です。ゲーム理論とは、戦略的な考え方を論理的、数学的に記述したものです。
京都議定書問題や郵政民営化問題などを例に出して、考えられる戦略的状況と、そこで予想される戦略的行動を推測することが多いです。
ゲーム理論の中にも色々あって、「囚人のジレンマ」やら「チキンゲーム」などがあります。
今回は「チキンゲーム」を元に恋愛を考えていきたいと思います。
分かりやすく言えば、お互いの「度胸」を示そうとするゲームを「チキン・ゲーム」と呼びます。例えば、お互いの車をスタート地点に並べ、信号が青に変わるや否やレースを始めます。
交差点や赤信号もお構いなく、全力疾走です。もちろんこれは大変危険な行為であって、事故に遭うことは目に見えています。この危険なゲームに最初に根をあげた方が「チキン(臆病者)」となるわけです。
数字は、レース後のそれぞれの自分の行動に対する満足度だと思ってください。
Aの行動\Bの行動 |
逃げる |
逃げない |
逃げる |
(-3・-3) |
(-7・0) |
逃げない |
(0・-7) |
(-10・-10) |
それでは、二人の行動の可能性を考えて見ましょう。
「可能性1:Bが逃げる」
この場合は、Aにとっては「逃げない」が最良の選択です。Bは先に根をあげたことによって、面目を失うからです。
「可能性2:Bが逃げない」
この場合、AにとってBにまともに付き合う事は得策ではありません。レースが続けばいずれ両方が事故にあって、最悪の結果となってしまうからです。
したがってAは最悪の結果を避けるために「逃げる」を選択しなければなりません。
此処からややこしくなるけど、ついてきてね!!
例えばここでは、「Bは逃げる」という予めの予想が与えられるものとしましょう。レース前のこのような予想はもちろん不確定要素を含むものであって、結果を保証するものではありません。
しかし「この予想が信頼できるものと仮定する」、そうした予測的態度をこの分野の研究者の名に因んで「ナッシュの予測」と呼びます。
「ナッシュの予測」は、「相手は当初の予測の通りに行動する」という内容の「予測」であり、それに基づいて導かれる自らの最適戦略を「ナッシュの反応」と呼びます。
上の例でいえば、「Bは逃げる」という予めの予想があったとします。
Aが「ナッシュの予測」を行うならば、「Bはその予想通りに逃げる」と考えます。その考えのもとでの合理的な戦略は「逃げない」であって、これがAの「ナッシュの反応」となります。
「A=逃げない・B=逃げる」および「A=逃げる・B=逃げない」が、お互いの視点から見て最適な戦略となります。お互いにとって最適なのですから、誰もこの状況を変えようとは考えていません。したがって状況はこのまま固定化します。
こうして生ずる状況の固定化を、社会科学では「均衡」と呼びます。また、「ナッシュの予測」→「ナッシュの反応」によって導かれた均衡を特に「ナッシュ均衡」と呼びます。
私\A君 |
告る |
告らない |
告る |
(-50・-50) |
(-100・0) |
告らない |
(0・-100) |
(-150・-150) |
それによって事前の予想情報を入手し、適当なナッシュの予想をすることにより、最適なナッシュ均衡が実現される可能性が高くなるといえます。
しかしナッシュ均衡は一つではありません。(この場合、私にとってはA君が告ってくれるということ、A君にとっては私が告るということ)
お互いが最適なナッシュ均衡にこだわり過ぎている場合、ダメージは150となりますから、自分から告るよりダメージは大きくなります。
このため、仮に「A君はいつもぼんやりしてるけど、やる時にはやる男やで」というナッシュの予測が外れた場合、つまりいつまでたってもA君が告ってこない場合は自分から告るのが最適なナッシュ均衡といえます。
このケースにおいて、経済学的に最適な戦略的行動は、
・友達に情報を流してもらって協力してもらう。
・相手がはっきりせん場合は、いつまでも待たずに自分からいく。
です。
※ちなみにこのゲーム理論は「付き合うかどうかの微妙な二人」を前提にしているため、完璧な片思いの人には有効じゃないかもしれません。ご了承ください。
次回は「規制緩和~競争の導入による市場の活性化~」に基づき、恋愛を解釈していきたいと思います。お楽しみに!